【簿記2級学習】その他取引>外貨建取引<取引と処理>

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外貨建取引

どの時点の為替レートで換算するのか?

Э外貨建て取引の換算

原則 |取引発生時の為替相場|で換算。

Э輸入時の処理

1Ж)商品を輸入したとき

取引発生時(輸入時)の為替相場によって換算した金額で仕入の処理をする。
例)X1年5月5日、カナダのC社から商品1000ドルを輸入し代金は翌月末実に支払うことにした。
(【為替相場】X1年5月5日:1ドル109円)
仕入 109000/買掛金 109000
1000×109=109000 (ドル×相場価格)

2Ж)前払金の支払いがある場合

【壱】前払金を支払ったとき

商品の輸入に先立って前払金を支払ったときは、取引発生時(前払金を支払ったとき)の為替相場によって換算した金額で前払金[資産]の処理をする。
例)X1年10月10日、カナダのC社から商品1000ドルを輸入する契約をし前払金100ドルを現金で支払った。
(【為替相場】X1年10月10日:1ドル110円)
前払金 11000/現金 11000 (ドル×相場価格)

【弐】商品を輸入したとき
Ⅰ:計上している前払金[資産]を減少させる。
Ⅱ:外貨建ての輸入金額と前払金との差額は取引発生時(輸入時)の為替相場によって換算した金額で計上スル。
Ⅲ:Ⅰ+Ⅱの合計が仕入[費用]の金額になる。

例)X1年10月20日、カナダのC社から商品1000ドルを輸入し、X1年10月10日に支払った前払金100ドル(11000で計上)との差額900ドルは翌月末日に支払うことにした。
(【為替相場】X1年10月10日:1ドル110円/X1年10月20日:1ドル100円)
仕入 101000/前払金 11000
買掛金 90000
仕入→前払金(100ドル×10日の相場)+買掛金(900×20日の相場)

Э輸出時の処理

※ほぼ輸入と逆になるだけで基本は同じです。

1Ж)商品を輸出したとき

取引発生時(輸出時)の為替相場によって換算した金額で売上の処理をする。
例)X1年5月5日、カナダのC社に商品1000ドルを輸出し代金は翌月末に受け取ることとした。
(【為替相場】X1年5月5日:1ドル109円)
売掛金 109000/売上 109000
1000×109=109000 (ドル×相場価格)

2Ж)前受金の支払いがある場合

【壱】前受金を受け取ったとき

商品の輸出に先立って前受金を受け取ったときは、取引発生時(前受金を受け取ったとき)の為替相場によって換算した金額で前受金[負債]の処理をする。
例)X1年10月10日、カナダのC社に商品1000ドルを輸出する契約をし前受金100ドルを現金で受け取った。
(【為替相場】X1年10月10日:1ドル110円)
現金 11000/前受金 11000 (ドル×相場価格)

【弐】商品を輸出したとき
Ⅰ:計上している前受金[負債]を減少させる。
Ⅱ:外貨建ての輸出金額と前受金との差額は取引発生時(輸出時)の為替相場によって換算した金額で計上スル。
Ⅲ:Ⅰ+Ⅱの合計が売上[収益]の金額になる。

例)X1年10月20日、カナダのC社に商品1000ドルを輸出し、X1年10月10日に受け取った前受金100ドル(11000で計上)との差額900ドルは翌月末日に受け取ることにした。
(【為替相場】X1年10月10日:1ドル110円/X1年10月20日:1ドル100円)
前受金 11000/売上 101000
売掛金 90000
売上→前受金(100ドル×10日の相場)+売掛金(900×20日の相場)

Э決済時の処理

対応する買掛金[負債]や売掛金[資産]を減少させます。
買掛金[負債]や売掛金[資産]は輸入又は輸出時の為替相場で換算されています。
現金等の支払額については決済時の為替相場で換算スル。
輸入・輸出時の為替相場と決済時の為替相場が異なる場合、仕訳に貸借差額(換算差額)が生じるため、為替差損[費用]または為替差益[収益]で処理しマス。

Memo
仕訳の時点では為替差損[費用]も為替差益[収益]も「為替差損益」という勘定科目で処理しておく。

Ж決済時の処理Ж

輸入時(1ドル100円)
仕入 10000/買掛金 10000(100ドル*100)
支払ったとき(1ドル105円)
借方
買掛金 10000(100ドル*100:1ドル100円で換算されている)
為替差損益 500(貸借差額)
貸方
現金 10500(105*100:1ドル105円で換算スル)
輸出時(1ドル100円)
売掛金 10000(100ドル*100)/売上 10000
受け取ったとき(1ドル105円)
借方
現金 10500(105*100:1ドル105円で換算スル)
貸方
売掛金(100ドル*100:1ドル100円で換算されている)
為替差損益 500(貸借差額)

決算時の処理

HRとCR
取得時また発生時の為替相場をHR(ヒストリカル・レート)
決算時の為替相場をCR(カレント・レート)
外貨建ての資産および負債はHRで換算された金額で計上されている。
決算時には|貨幣項目※1|については、CRで換算替えをスル。
換算差額は為替差損益で処理スル。

※1
貨幣科目:外貨通貨、外貨預金、配下建て金銭債権債務など

Э為替予約

✟為替予約とは……?✟

為替相場の変動リスクを回避するため、あらかじめ決済時の為替相場を契約で決めておくことを|為替予約|と呼ぶ。

✟独立処理と振当処理✟

為替予約の処理には[独立処理]と[振当処理]がある。
2級では振当処理のみが試験範囲となります。
(2019/08/19)

✟取引発生時(まで)に為替予約を付した場合の処理✟

Ж1)為替予約を付したとき(取引が発生したとき)
外貨建債権債務(外貨建ての売掛金や買掛金など)を[為替予約時の先物為替相場(予約レート)]で換算します。
例)仕入 10000/買掛金 10000 (1ドル100円:先物為替相場)

Memo
先物為替相場……先物(先渡)取引に適用される為替相場
直物為替相場……直物(現物)取引に適用される為替相場

Ж2)決算時
為替予約を付したときは、決算において買掛金などの換算替えを行いません。
よって「仕訳なし」となります。

Ж3)決済時
為替予約を付したときは、為替予約時の先物為替相場(予約レート)によって決済が行われる。
そのため、換算差額は発生しない。
例)買掛金 10000/現金 10000(1ドル100円:為替予約時の先物為替相場)

✟取引発生後に為替予約を付した場合の処理✟

Ж1)取引が発生したとき
取引発生時の直物為替相場で換算します。
例)仕入 10000/買掛金 10000 (1ドル100円:直物為替相場)

Ж2)為替予約を付したとき
外貨建債権債務について、取引発生後に為替予約を付したときは、
外貨建債権債務(外貨建ての売掛金や買掛金など)を[為替予約時の先物為替相場(予約レート)]で換算します。
換算差額は為替差損益で処理スル。
例)為替差損益 500/買掛金 500 (1ドル105円:為替予約を付したときの先物為替相場)
※500買掛金が増額している。

Ж3)決算時
為替予約を付したときは、決算において買掛金などの換算替えを行いません。
よって「仕訳なし」となります。

Ж4)決済時
為替予約を付したときは、為替予約時の先物為替相場(予約レート)によって決済が行われる。
そのため、換算差額は発生しない。
例)買掛金 10500/現金 10500
(1ドル100円:為替予約時の先物為替相場)

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